コラム

生産性・マニュアル化が似合わない業界

生産性を向上させよう。などとよく言われます。
それはすごくいいことだと思います。
しかし、私は葬儀ほど生産性という言葉と似合わないものはないと考えています。
生産性を向上させるためにまず取り組むことは業務のマニュアル化ですよね。
そのマニュアル化が一番似合わないのが葬儀だと考えているからです。
宗教・地域はもとより故人の考え方・大切にしていたものなどなどで葬儀のやり方は大きく違ってくるのです。
簡単な例としては同じお宅で立て続けに父母の2件の葬儀があったとしましょう。私どもはここ数年リピーターの方と言われる葬儀が約半数になるほどのリピート率になりましたので、同じお宅の葬儀をすることがほぼ毎日のようにあります。数年前から数日前まで様々です。けど、1回目の時と2回目の時が全く同じということはありえません。
参列の方も違えば焼香順位もまるで違います。故人の好きだったものから大切にしていたこと、それなんか全然違ったりしている方が普通です。
ご遺族もそういった点に気づいていないことも多く「〇年前に父がお世話になりましたがその時と一緒にしておいてください」と言われることがけっこうあります。その場合にも「全く一緒というのはあり得ないんですよ」という説明から丁寧にさせていただいています。
葬儀はその人のこの世に生まれてから歩んできた歴史そのものだからです。だから間違えや些細なミスも許されないと私は教えられてきました。やり直しがきかないからです。
ところがこの20年近くは葬儀会館ビジネスモデルとなって、自社会館のマニュアル化を進めて、切っても切ってもみんな同じの金太郎あめのような葬儀が繰り広げられています。まるで工場のラインに乗せられているような葬儀。まるで白骨製造工場です。
そんな葬儀を見ていると業界歴40年になる私ですら「無駄なことやっている」と思わされてしまいます。
100人いれば100通りの人生がある。だから葬儀も100通りあっていいはず。そう考え続けて30年。私の思いとはまるで反対に向いて生産性向上の事ばかりが考えられているこの業界はきっと今後危うくなっていくと思います。
だからこそ、今は私は幸福モデルのお葬式に取り組んでいます。
故人にもご遺族にも「お葬式をしてよかった」と思っていただきたいのです。

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